そうこうするうちに夜も更けてきたが、昼の飲茶とカクテルで腹があまり減っていない。最終日は食事を抜いて、夜の街の散歩でもしようか。

明日は朝のフライト。早々に寝てしまおうとも思ったが、クアラルンプールで最も賑わうというホテル内にあるクラブ「KYO」をのぞくことにした。さらに奥にはカクテル ラウンジの「REN」もあり、貸し切りのプライベートパーティを開くことができるのだという。
日本にインスパイアされたというこのクラブは2016年にオープン。訪れた時は浮世絵の春画が壁にズラリと並び、イスラム国家なのにここだけは開放的。もちろん日本の酒も揃う。マンダリンオリエンタル クアラルンプールの宿泊客は入場料がフリーというのもうれしい。
「マレーシアで一番のサウンドだよ」とマネージャは胸を張っていた。実際、アートとデザインの融合した空間でクアラルンプールのファッションウィークの開場にもなったのだという。
早い時間よりも遅くなるほど若い人たちが増えてくる。そんな若いエネルギーに包まれていると、自分も少し若返ったような気さえしてくる。これからますます成長を遂げるであろうクアラルンプールの熱気を肌で感じて、嫉妬のような羨望を覚えた。
文/藤村 岳