価格でも、速さでもない
エグゼクティブがラグジュアリーカーを選ぶ20の理由
高価であること。速いこと。豪華であること。もちろん、それもラグジュアリーカーを形づくる要素だ。
けれど、一台を選ぶ理由はそれだけではない。受け継がれてきた歴史、遠くまで走りたくなる心地よさ、自分だけのために仕立てる愉しみ、名車に宿る希少性や来歴。そして、そのクルマだからこそ出会える特別な体験や文化まで。何を買うかではなく、何を理由に選ぶのか。
エグゼクティブのための、いまのラグジュアリーカー選びを20の視点から考える。
【V】RESTOMOD & COLLECTING 過去の価値を、いまどう選ぶか
(17)時を超えた美しさをいま手にする
過去の名車には、完成した姿だけでなく、当時は実現できなかったアイデアや可能性まで含めて価値が宿る。時を超えて受け継がれたデザインや思想を、現代の技術によってかたちにすること。それは単なる復刻でも、現代風の再解釈でもない。かつて描かれながら世に出ることのなかった美しさを、いまの時代に完成させ、自分のものとして味わう。そんな時間を超えた贅沢も、特別な一台を選ぶ理由になる。
ジョルジェット・ジウジアーロが約60年前に描いたオープンモデルの構想を、現代の技術でかたちにした一台。低く流れるようなプロポーションには、1960年代イタリアンGTの美しさと、いまの時代だからこそ実現できた完成度が共存する。価格未公表(ビッザリーニ)
60年前の夢をいま完成させる
1960年代のイタリアで誕生したビッザリーニ。その名を残したエンジニア、ジョット・ビッザリーニの思想と血統を受け継ぎながら、ブランドはいま新たな時代を迎えている。その象徴となるのが5300 アペルタ ルッソだ。
このクルマが一般的なレストモッドと異なるのは、過去の名車を現代風に作り替えたものではないこと。ジョルジェット・ジウジアーロが約60年前に描きながら、当時は実現しなかったオープンモデルの構想を、現代の技術によって完成させた一台なのである。
往年の5300が持つメカニズムやプロポーションを尊重しながら、かつて図面の中にしか存在しなかった美しい姿を現実のものにする。それは単なる懐古趣味ではない。過去の優れたアイデアを、いまの時代に完成させて味わうという贅沢だ。
60年という時間を超えて実現した一台を手にすること。それこそが、5300 アペルタ ルッソを選ぶ最大の理由なのだ。
[MEN’S EX Autumn 2026の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)





