価格でも、速さでもない
エグゼクティブがラグジュアリーカーを選ぶ20の理由
高価であること。速いこと。豪華であること。もちろん、それもラグジュアリーカーを形づくる要素だ。
けれど、一台を選ぶ理由はそれだけではない。受け継がれてきた歴史、遠くまで走りたくなる心地よさ、自分だけのために仕立てる愉しみ、名車に宿る希少性や来歴。そして、そのクルマだからこそ出会える特別な体験や文化まで。何を買うかではなく、何を理由に選ぶのか。
エグゼクティブのための、いまのラグジュアリーカー選びを20の視点から考える。
【V】RESTOMOD & COLLECTING 過去の価値を、いまどう選ぶか
(16)名車を現代のラグジュアリーへ
名車をそのまま保存するだけが、過去の価値を受け継ぐ方法ではない。いまの感性や素材、技術を重ねることで、クラシックカーは現代のライフスタイルに似合う存在へと生まれ変わる。シンガーとルイ・ヴィトンの協業は、その可能性を鮮やかに示した。歴史ある一台を、いまの時代にどう楽しむか。そこにも新しいラグジュアリーのかたちがある。
ルイ・ヴィトンとSingerが仕立てた「Porsche 911 Reimagined by Singer」。サフラン色のボディに専用ルーフラックとサーフボードを備え、名車を眺めるだけでなく、実際に旅へ連れ出すための一台として再構築した。“Art of Travel”というルイ・ヴィトンの思想を、911というかたちで表現している。価格非公表(Singer)
名車の価値は、いまの感性で更新できる
クラシック911を現代の感性で再構築するシンガーと、旅をブランドの原点とするルイ・ヴィトン。その両者が初めて手を組み、2台の特別な911を仕立てた。
発端はダッシュボードに収めるタンブールクロック。その後 、協業はメーター、レザー、金属パーツ、ラゲージへと広がっていく。
シンガーのエンジニアリングに、ルイ・ヴィトンが培ってきた時計、革、トランクづくりの技術が重なり、名車は単なるレストアにとどまらず、現代の旅に似合う一台へと仕立て直された。
過去の価値を守りながら、いまの暮らしに馴染ませる。使う時間や旅の場面まで含めて再解釈する。その発想こそ、新しいラグジュアリーのひとつだ。
[MEN’S EX Autumn 2026の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)





