AMBROSI(アンブロージ)
パンツを主役へと導いた、世界を翔ける革命児

[左]Antonio Ambrosi(アントニオ・アンブロージ氏)
[右]Salvatore Ambrosi(サルヴァトーレ・アンブロージ氏)
父アントニオ氏は1944年生まれ。10歳からパンタロナイオとしての道を歩み始めた。息子のサルヴァトーレ氏は1980年生まれ。幼い頃から針を握り、17歳で正式にこの仕事に就く。2010年、自身の名を冠したパンツブランド「アンブロージ」を立ち上げ、世界的な成功へと導いた。
マラドーナを自身に重ねてパンタロナイオの頂点に
マラドーナのポスターは初めて会った2010年、ニコーテラ通りの旧工房時代からずっと壁に貼られている。貧しい地区から世界の頂点に上りつめたマラドーナに、サルヴァトーレ・アンブロージ氏は自身を重ねてきた。長らく脇役と見なされてきたパンタロナイオ(パンツ職人)という存在に新たな価値と誇りを与えたのは、他でもない彼である。
「最初にこの道を切り拓いたのは私だと言われることは、誇りであると同時に重責でもあります。ただ、“最高”または“そのひとり”と呼ばれることは、お客様に非常に高い期待を抱かせることになりますから、決して妥協してはいけないんです」
世界中を忙しく飛び回っているが、深夜にナポリへ戻った翌日も、早朝から工房に立つ。そして、針と糸に飢えていたかのように、凄まじい集中力で“ゾーン”に入る。ナポリにすべての原点があり、色彩感覚も創造性もこの街で育まれた。幼い頃から父の仕事を追いかけ、技術だけでなく忍耐も学んだ。そして今、八十歳を超えてなお仕事に情熱を傾ける父の姿は、サルヴァトーレ氏にとって永遠の指針となっている。
個人主義を地で行く彼が、「レ・マーニ・ディ・ナポリ」に参加した理由を、興味津々尋ねてみた。
「ナポリを愛しているからです。自分の街のためなら、迷う理由はありません。“レ・マーニ”は職人文化の真価を取り戻してくれました。若い人たちには、職人の世界が本当に美しく深い喜びを与えてくれるものであることを知ってほしいですね」

DATA
アジアから帰国した翌朝も、Tシャツとショーツ姿で真剣に針仕事に向き合っているサルヴァトーレ氏。パンツのビスポークは€900~。
Via Chiaia,184 81032 Napoli
TEL. +39 081 414497
URL:https://www.ambrosistudio.com
撮影・コーディネイト・構成・文=藤田雄宏〈AFTERHOURS〉
[MEN’S EX Winter 2026の記事を再構成]





