雨の日とはいえ、スーツやジャケットを羽織って対面で臨むべきシーンが多いM.E.世代のビジネスマンにとって、厚みのあるしっかりとした傘地を持つ一本傘は必携だろう。つややかな木製や上質なレザーハンドルに、隙のないステッキのような細身の傘は、梅雨時期でもミドルエイジの男性が持つべき品格を保ってくれるのだ。そして材料のひとつひとつにこだわって作られた雨傘は、差すだけで装いを一段格上げしてくれ、使い込むほど手に馴染み愛着が湧いてくる。

歴史と伝統のある欧州の名門ブランドや国内名ブランドが手掛ける高級傘があれば間違いない。ただ雨を防ぐだけの道具としての傘ではなく、遊び心のあるファッションアイテムとしても永く愛用できる。

クラス感を損なわない洒脱な一本傘をPiCK UP

前原光榮商店

きちんと感と同時に抜け感を与える老舗の太ボーダー

皇室をはじめ、数多くの著名人から支持されている老舗傘メーカーの前原光榮商店。太さの異なるラインを組み合わせた存在感のあるストライプ柄の10本骨傘は、雨の日の装いに華やかさを添える。メインとなる太いボーダーは綾織の斜線を際立たせて織り出すことで、躍動感のある表情に。中棒の素材には樫を採用し、手元にはマラッカ籐を使用している。親骨の長さが66cmあり、しっかりと雨露をしのげる。3万800円（阪急メンズ東京　TEL 03-6252-1381（代表））

マリオ・タラリコ×マリネッラ

繊細な色柄で魅せるナポリの老舗のコラボ傘

1860年の創業当時よりハンドメイドにこだわり続けるナポリの老舗傘屋。1本の木を手で曲げて成形するなど、150年以上経った今も、ほぼ全ての工程が手作業で行われおり、こちらは、ナポリの老舗同士の美意識から生まれたコラボ品。ハンドルからシャフトまでをソレントレモンの木を1本使った味わい深い重厚感が魅力だ。8本の骨のバランスの美しさと紺×グレーのストライプにボルドーがほどよいアクセントをプラスする。ハンドルは天然の素材を使用しており、柔らかな光沢が上品さを醸し出す。6万9300円（マリネッラ ナポリ東京ミッドタウン　TEL 03-5413-7651）

フォックスアンブレラズ

キリリとシャープに巻かれた英国細巻傘の代名詞

細身かつ、上品なメイプルのハンドルに、きりりと絞りあげられた美しい傘。その生地はパラシュートの残材ナイロンから、ポリエステルに変わりながらも、熟練職人のハンドメイドは今も変わらず、きめ細やかな光沢を持った生地の傘を製作している。傘として必要な強度を保ちながら極細に巻くことができ、かつ広げた時のエレガントさや重さの点を考慮した8本骨を採用。開いた時に姿を現す美しい傘骨の曲線は、独自のU字断面のスチールフレーム構造が採用されている。2万9700円（グリニッジ ショールーム　TEL 03-5774-1662）

ハンティング・ワールド

シックなカラーリングで大人の洒脱さを演出

アウトドアをルーツに持つハンティング・ワールドは、鞄や革小物を始め、雨傘も密かに人気のアイテム。職人が高い技術で作り上げた傘は、オリーブとネイビーのバイカラーが目を引く。厚手のジャガード生地を使用した傘布には、プリントではなく織りでロゴを入れた手の込んだ仕様が見どころ。洗練された印象を醸す革巻きの柄には、メタルパーツでロゴをアイコニックにあしらっている。2万9700円（ハンティング・ワールド帝国ホテル店TEL 03-3501-7080）

撮影＝武蔵俊介　スタイリング＝宮崎 司　文＝伊澤一臣