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個性の強い色柄も、さらりとリアリティのあるバランスへ

約50万反（１反は約50ｍ）もの年間生地生産量を誇るマルゾット社は、世界中のアパレルメーカーに親しまれる老舗生地メーカーにして、名門ミルを多数傘下に収める大手グループ企業だ。世のテキスタイルトレンドを先導する存在として注視されるが、一方でオーセンティックな梳毛生地を得意としてきた歴史もあり、王道を踏み外すことがないのもココの特徴。攻めすぎず守りすぎずの巧みなバランス感覚もまた、世界中のアパレルメーカーから支持される所以だ。

それを象徴するのが1頁のチェック生地。ともにブランドの最高級コレクションに位置づけられる「ファブリカ アルタ」の生地で、ストライプをタイルのように、縦横互い違いに配しているのが特徴だ。ウエイトはヘヴィで、そのハリコシも強靱。仕立て映えするとともに、昨今のトレンドであるヴィンテージの薫り、カントリーの趣が色濃く漂う。ただ、そのタッチはなめらか。ゴワゴワ感がなく、一部の趣味人が好むような泥臭さは実はあまりない。個性的な色柄も、あくまでクリーンで都会的なテイストにまとめる——リアリティのあるものへ仕上げる手腕こそ、マルゾットの真骨頂なのだ。

その優れたバランス感覚は、他の生地コレクションにも貫かれている。主要コレクションを下に挙げたので、併せて注目されたし。

洒落ていて洒落すぎない、バランスの巧みさ。