ジャケット60万円/アットリーニ、チーフ1万円/タイ ユア タイ(以上タイ ユア タイ 青山) シャツ2万9000円/リングヂャケット ナポリ、タイ1万8000円、パンツ2万2000円/以上リングヂャケット、ベルト2万5000円/ダミーコ(以上リングヂャケットマイスター 青山店) 靴7万円/パラブーツ(パラブーツ青山店)
スタジオに入ってきたアウディスポーツ最高峰のスポーツカー、アウディ R8 スパイダーのエキゾーストと真っ赤なボディに、川瀬さんは目を輝かせた。作曲家の譜面に込めた想いを現代に再現する指揮者には神経質なイメージがある。だがこの車を前にした川瀬さんにそんな印象は微塵もない。幼少からクルマが大好きで、現在アウディ A6に乗る川瀬さんにとって垂涎の的だからだ。
「仕事ではキャリーケースがあるのでセダンが適しているのですが、最近スポーツカーに興味が湧いてきて、いつかはと狙っています」とアウディ R8 スパイダーに目を細める。普段は近場の打ち合わせやリハーサルにもクルマを使う。それは運転を楽しみ、一人だけの空間で気持ちをリフレッシュさせるために。
「もちろんクルマを操る高揚感も大好きです。毎年夏には音楽祭に参加するため、ドライブを兼ねて軽井沢に行きます。軽井沢のひとつ手前で高速を降りて峠道を走らせるのですが、小回りも利くし、クワトロ(フルタイム4WDシステム)なのでくねくねした道も苦になりません」
そして運転にはやはり音楽が欠かせないという。
「クルマで聴くと同じ曲でも印象が異なりますね。音楽は常に自分の気持ちと密接に結びつき、風景や天候と同様、運転にも刺激をもたらします。雨の日にあえてテンションの上がる曲を選んだり、逆に雨がテーマの曲を聴いてその世界に浸るとか。オープンカーにも憧れます。風や気温や匂い。運転を五感で楽しめます」
このアウディ R8 スパイダーの魅力を問うと、目立つこと、と笑う。
「目立ちたがり屋でないとこの職業は選ばないですから(笑)。それに熟成を増したミッドシップレイアウトもいいですね。精密なエンジンが生み出すパワーやV10サウンドを背中から体感できます。それこそ何百年や中には千年以上も前からある生の音に向き合っている立場からすると、それ自身が発する音にはとても興味が湧きますね」
若きマエストロの生み出す音と革新的なテクノロジーとが織りなす音。いずれも感動を与えるという点に変わりはない。
1984年東京生まれ。2007年東京音楽大学卒業とともに、デビュー。現在、名古屋フィルハーモニー交響楽団指揮者、神奈川フィルハーモニー管弦楽団常任指揮者を務める。
川瀬さんの愛車Audi A6のナンバーは、験担ぎの意味でデビューのきっかけとなったコンクールのエントリーナンバーと同じ数字だ。
Audi Sportの持つモータースポーツの全ノウハウを投入し、生まれ変わったスーパースポーツカーの魅力を徹底分析。
「このクルマの内装はシンプルで飾り気がないところに高級感が漂いますね。それでいてレーシングカーのようなハンドル回りなど走り心もそそられます」(川瀬さん)。ルーフトップもボタン操作ひとつ、20秒で開閉可能だ。
エンジンは直噴とポート噴射のデュアルインジェクションを備え、状況に合わせた最適な燃料噴射により高性能と高効率を両立。最高速は318km/hに達し、先代と比べるとパワーで15馬力、トルクは10Nm向上させた。
先代に比べ、全長は14mm短く、全幅は36mm拡幅。力強いリアエンドによりさらにミッドシップらしさが増した。車体は新開発された複合素材アウディ スペース フレームによりさらなる軽量化と剛性の向上を果たした。