スーツやジャケットの流行が変わっても飽きずに着続けられるのは
「クラシックチェスター」で間違いない

相対的に値が張るコートは、長く着られるものを吟味したい。やはりクラシックなチェスターが最適だが、サルトリアルな背景とモダンな感性を兼備するイタリアブランドの一着なら、末長く新鮮に着こなせるはず。その魅力を、バイヤーやプレスの方々に聞いた。

1. ISAIA ／ イザイアのロス

クラシックな優美さが気分な注目のニューチェスター

今季モダンにモデルチェンジを行い、今のスタイルに合わせやすくなったチェスターコート「ロス」。薄い肩パッドを用いた程よい構築感と細すぎない適度なゆとりのあるシルエットが特徴であり、風格のあるクラシックな佇まいと優美なドレープが楽しめる。それでいてスラッシュポケットを採用することにより、軽快なモダンさも加味。

「トレンドに左右されないナチュラルなシングルチェスターシルエットと、ウールモヘア混のメランジ生地によるヴィンテージテイストが絶妙なバランスで、完成度の高い1着です。年代を問わず、どんなスーツやジャケットのVゾーンにも、品格を高めてくれると思います」（イザイア ナポリ 東京ミッドタウン店長 市瀬さん）　27万円（イザイア ナポリ 東京ミッドタウン）

2. BELVEST ／ ベルヴェストのダブルブレストコート

クラシックながらも着やすい控えめな表情や軽やかな着心地

近年注目度が高まっているアルスターカラーに正統派のクラシックな雰囲気が漂う、ダブルブレストのコート。ウールカシミヤのヘリンボーン生地は柔軟な肌触りと張りを兼ね備え、無地ライクなシャドーのヘリンボーン柄ゆえ、着やすい表情。肩周りや胸周りには凛々しい構築感を備えているが、背抜きの一枚仕立てなので着心地は軽やかだ。

「丸みを帯びた構築的なシルエットや太めのラペルとも相まった、存在感あるクラシックシルエット。スーツに似合う一着として大人が持っておきたい、保守本流的なコートです」（八木通商PR　大畑さん）
またダブルブレストながら前合わせが浅めの設定になっているので、ボタンを開けて羽織ってもシャープに見えて様になる。　26万8000円（ビームス ハウス 丸の内）

3. LARDINI ／ ラルディーニの3Bスポルベリーノ

コンパクトながら優雅さが漂う絶妙なバランス感はさすが

今季トレンドであるキャメルカラーを、ウールフランネルで仕立てた1着。
「流行を超越した普遍的なエレガントさを感じさせる、シングルチェスターコートです。コンパクトかつモダンなシルエットながら、優雅さを感じさせる絶妙なバランスで、スーツもカジュアルも問わず、着回し可能な汎用性の高さを誇ります。ややゆとりのあるシルエット、上質な素材と仕立てを生かして、様々なスタイリングで活躍させて長く着続けたい一着です」（ストラスブルゴPRマネージャー杵淵さん）

ビジネスユースを考えたアウターは、渋い色を選びがち。こんな美しいキャメルカラーをワードローブに加えておけば、暗くなりがちな秋冬のスタイルを明るく、軽やかに洗練させてくれるはずだ。　12万円（ストラスブルゴ）

4. TAGLIATORE ／ タリアトーレのCFBL10B

紳士らしい貫禄を纏える洗練のスマートシルエット

存在感と貫禄のあるダブルブレストのチェスターコートだが、タリアトーレが得意とするウエストシェイプを効かせた洗練のシルエットにより、佇まいはモダンかつスマート。着丈も軽快な膝上であり、日本人の体格でも着こなしやすいバランスに仕上がっている。素材は張りと柔軟性を兼ね備え、保温性も高いウールカシミヤフランネル。ビジネスはもちろん、モダンなシルエットはカジュアルでも着こなしやすいはずだ。

「素材がウール90％、カシミヤ10％なので、カシミヤの風合いを楽しめつつ、ウールの堅牢さにより実用性も兼ね備えた1着です。デザインも王道を行くダブルのチェスターなので、普遍的でトレンドを気にせず、長年着られると思います」（バインドPR 河原さん）　9万3000円（トレメッツォ）

［MEN’S EX 2017年12月号の記事を再構成］
撮影／若林武志　スタイリング／武内雅英（CODE）　文／竹石安宏（シティライツ）　撮影協力／バックグラウンズ ファクトリー