Q. 着回し力以外のメリットもある？

小技も多芸。

シャツ・タイ・チーフで攻めても派手に見える心配なし

ダブルブレストはシングルに比べてVゾーンが狭くなるのが大きな特徴。それゆえ、シャツやタイの色柄を普段より主張強めにしても悪目立ちせず、コーディネートの幅がより広がるのだ。また、ラペルが広いためチーフが覗く面積も少なくなり、これまた攻めを効かせても節度を失わない。もちろん、無地のシャツタイでストイックに徹してもよし。実はダブルこそ汎用性の高いデザインなのだ。

ニットのパンツインなどヒネリ技も自然に決まる

たとえば、差し色ニットの裾をパンツインしてエレガンスを演出しつつ、フロントボタンを開けてノンシャランな着流し風に……こんな計算ずくのスタイリングも、作為的に見えず自然にまとまるのが多芸ダブルの魅力だ。これがシングルだとパンツインが目立ちすぎる懸念もあるわけだが、ダブルならスーツ自体に存在感があるため、自然に馴染むというわけである。ちなみに旧来の重厚なダブルでは前ボタン外しそのものが成立しにくいためご注意を。

上級者御用達のボタン下掛けが誰でも簡単に実践可能

ウェルドレッサー御用達のテクニックとしてお馴染みのボタン下掛け。ラペルの返りが大きくなり、着こなしに遊びをプラスできるのが特徴だ。とはいえ旧来のダブルスーツはボタンの左右間隔が広いため、かなり慣れた人でないとヤケドしかねない技でもある。が、多芸ダブルの多くはボタン間隔が比較的狭く、また仕立ても柔らかいため下掛けが決まりやすい。スーツスタイルの最上級者たちのような自然な外しが誰にでも実践できるのだ。

［MEN’S EX Autumn 2023の記事を再構成］
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