高い＝高級ではない！　名⾨スイス製からお馴染み国産時計まで、30万円以下^＊で買える傑作時計150本超を掲載した絶賛発売中のムック『U（アンダー）30万円で一生使える傑作腕時計150』。その中身をピックアップしてご紹介。
＊税抜き・2022年9月現在

【U30万円なのに一生ヘタレない】
圧倒的な高品質が魅力の
やりすぎドイツ時計

実用重視のシンプルな質実剛健スタイルが特徴となるドイツ製ウォッチもU30万円時計が数多く揃う。そのスタイルをいっそう極めたハイクオリティモデルを紹介する。

MÜHLE GLASHÜTTE（ミューレ・グラスヒュッテ）

海難救助協会のために生まれた屈強時計

ドイツ・グラスヒュッテの地に1869年に創業した伝統的ドイツブランド、ミューレ・グラスヒュッテ。旧東ドイツにある他のメーカー同様、第2次世界大戦後の社会主義体制下で解体されてしまうが、東西ドイツ統一後の1994年に新生ブランドとして復活した。復活のその年に、日差0.01秒という驚異的な精度のクォーツ式マリンクロノメーターの開発に成功。翌年からは機械式時計コレクションをスタートし、2006年には新たな自社ファクトリーも完成させた。

このブランドで注目すべきなのはその技術力の高さだ。ウッドペッカー緩急針を筆頭とする独自パーツを開発し、既存のムーブメントを使用しつつも独自にファインチューニングを施すことで、すべての製品が1日あたり0〜＋8秒の高精度を維持するよう調整されている。

そんな確かな技術のもと、ドイツ海難救助協会（DGzRS）のために開発・設計したモデルが「S.A.R.レスキュータイマー ルーメン」である。2002年より同協会に採用され、現在も救助船の乗組員たちの活動を支え続ける本作の特徴は、ダイバーズ仕様ではないにもかかわらず、機械式最高峰級となる1000m防水を実現すること。厚さ約4mmもの分厚い無反射サファイアクリスタル風防が、防水性とともに文字盤の視認性確保にも貢献する。

さらにインデックスと針を除き、文字盤全体にスーパールミノバを施した特殊夜光スタイルも採用。このように採算を度外視して、ついつい本気で「やりすぎ」てしまう。アンダー30万円のドイツ時計には価格以上の実力が備わっているのだ。

高い技術を誇る伝統的ブランド

ミューレ・グラスヒュッテは1869年創業のドイツブランド。精密機器メーカーとしてスタートし、機械式時計には1995年より参入した。小規模な家族経営ながら、技術力の高さには定評がある。