加藤人に任せるのは勇気が要りませんか？
星野2000年代の前半にスキーにのめり込んでいって、そっちのライフの方が重要になってきた頃から、急に発想が変わりました。人生が終わるとき、仕事をもっとしておけばよかったとか、会社をもうちょっとしっかり経営しておけばよかったという後悔はおそらくない。それより、もっと日常的なことや、私の場合はスキーを滑っておけばよかったという後悔が生じる確率が高いと思うんです。だから、自分じゃない人でもできる仕事はどんどん手放していくということを、今は一生懸命にやっています。
加藤ただ、現役でバリバリ働いている30代や40代は、どうしても仕事優先で、プライベートまで大切にできない人が多数派な気もします。
星野私自身もある時期までは仕事ばかりで、プライベートに時間を配分してこなかったことに、ちょっと後悔があります。だから、仕事も趣味も大事にしてほしいなと思いますね。そんなに仕事をしたって、結果なんて、たいして変わらないですよ。
加藤星野さんは仕事の会食にも、ほとんど参加されないと聞いたのですが……。
星野そうですね。ストレス耐性は年齢とともに弱くなる。50代になると、ことさら感じます。そんな中でも、ストレスがあろうがなかろうが、会議などは絶対に出ないといけない。でも、会食には出なくても、仕事にも売り上げにもさほど影響はしない。スキー仲間との食事はまったくストレスにならないので、行きますけどね（笑）。
加藤私は「断るとよからぬことが起こるのでは」と思ってしまって、結局は顔を出してしまいます。
星野楽しければいいと思いますが、つまらない会食のダメージが次の日以降に影響したりすると、一番活躍しなければいけない場でのパフォーマンスが落ちるんですよ。しかも、世の中的に「ゴルフもしないし、会食もしないし、付き合いが悪い人」で通っていて、たまに顔を出したりすると、すごく感謝されます。
