俳優・中井貴一が語る「ビスポークの愉しさ」とは──?【中井貴一の好貴心】

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中井貴一さん

【中井貴一の好貴心】vol.7《"ビスポーク"の愉しみを知る》

この「好貴心」という連載を始めるにあたり、一番取り上げたかったのが、"ビスポーク"というテーマでした。
洋服、特にスーツはずっと好きでしたがこれまでビスポークの経験は殆どありません。
20年以上前、M.E.の企画で銀座の老舗テーラーでスーツを誂えたのが初体験。
仕立て上がりの絶妙なサイズ感、特にパンツのフィット感のよさに驚いた記憶があります。
50歳を過ぎ、そろそろビスポークの扉を本格的に開けても良いのでは......、と機会を狙っていました。
本気のスーツ、フルオーダー。
果たして、いかに......(笑)。
解禁になったビスポークの愉しさを皆さんと共有できればと思います。

「ビスポークは家を作るのと一緒で、3回建てないと自分のものにはならないと言われる。作り手と話し合いながら、自分のスーツが完成していく、そのプロセスが楽しいし、大事なんです」

中井貴一さん

服に自分の体を合わせにいくのではなく、服が自分に合わせに来てくれるという贅沢

俳優という仕事をしていると、日常的にスーツを着る機会はそれほど多くない。もちろん役でスーツを着ることはあるし、何かの授賞式などの改まった席ではスーツは必需品だが、普段はほとんどカジュアルで事足りてしまう。それなのに、私はスーツやタイでオシャレを楽しむことが大好きなのだ。もし自分がサラリーマンだったら、毎日スーツやタイのコーディネートが楽しめてどんなにいいだろう、と思うことさえある。買い物に行くと、ついスーツに目が行きがちな自分がいる。試着をして、一瞬悦に入っても「そんなに着ないか......」と諦めることもしばしば。だからこそ、これからスーツをワードローブに加えるなら、自分の体にフィットしたものを、と考えるようになってきた。実は2年ほど前に、知人から大阪でテーラーをなさっている山田訓弘さんという方を紹介いただき、いつかはそちらで誂えてみたいと考えていた。この連載がスタートしたのを機に、念願のビスポークを実現させるときがやって来た!

大阪は心斎橋にほど近いヴェスティルという山田さんの店を訪ねたのは、6月上旬のこと。民家を改造したという店舗は、瀟洒でありながら、民家だった当時の屋根をそのまま生かしたインテリアがなかなかユニーク。1階では既製のカジュアルアイテムやシューズを扱い、2階がお目当てのビスポーク・サロン。まずはゆったりとしたレザーのソファでコーヒーをいただきながら、こちらの希望をざっと伝え、山田さんからのアドバイスも伺いながら、少しずつイメージを具体的にしていく。そして生地選び、ディテール決め、採寸......。こういう手順はM.E.読者ならよくご存じだろう。

ビスポークの醍醐味は、その言葉通り、洋服を作ること以上に、洋服を作ってくれる人との話し合いにある。「丈はいかがでしょう?」「ちょっと短めが好きなんだけど、今回はフォーマルにも着たいから、普通にしようかな」「分かりました。フィット感はタイトめに?」......などといった会話。デジタルの時代にあって、実にアナログなやりとりが妙に新鮮でうれしく、楽しい。

――そして待つこと約1ヶ月半。途中仮縫いのフィッティングを経て完成したのが、上の写真で着用しているスーツである。袖からシャツがぴったり8㎜出てくれるような、細かいところにビスポークのよさが感じられる。既製品に自分の体を合わせにいくのとは真逆の、向こうから合わせに来てくれる贅沢さ! 初めてゴルフコースに立った瞬間に「大人になった」と感じたことを以前、この連載の中でも書いたが、ビスポークはそれに勝るとも劣らない〝大人〞な満足感と高揚感を味わわせてくれた。

関西で長年紳士服に携わってきた山田訓弘さんが、2013年4月に自身の店、ヴェスティルをオープン。関西を中心に服好きから支持を集めている。中井さんは前出のスーツのほか、上の写真の夏用ウール生地のスーツも注文。仮縫いのフィッティングで、さらに細かい修正を行った。

VESTIR《ヴェスティル》

ヴェスティル,中井貴一さん
ビスポーク用の生地は、ロロ・ピアーナやゼニアほか、30ブランド以上を用意。仮縫いつきフルオーダーは13万6500円(税込)~で、納期は約1ヶ月半。「VESTIR《ヴェスティル》」/大阪市西区新町1-7-14 ☎06-6535-3480/営業時間:12時~20時日祝休

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