新入社員にありがちな「やりたい仕事病」に上司はどう対処すべき?

NULL
Facebook
Twitter
友だち追加

希望した職種と違う!新人に「やりたい仕事病」が蔓延する理由

ダイヤモンド・オンライン 新人が入社して早々に「自分が希望するものと違う」「やりたい仕事と違う」と言ってくることはないだろうか?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

新人が現場に配属されてしばらくすると、様々なトラブルが続出する。その典型の1つが、やりたいことと現実の業務とのギャップへの不満だ。人手不足といわれる中、せっかく採用した新人がすぐに辞めてしまうのは企業にとって大きな痛手だ。同じ失敗を繰り返さないようにするにはどうしたらいいだろうか?(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

「希望した職種と違う」と言って異動を訴える新人

 電子機器メーカーの経営者Aさんは、B課長から今年の新人Cさんに関する相談を受けた時、「またか…」と思うと同時に、昨年入社して2ヵ月で辞めたDさんやEさんのことが脳裏をよぎった。

 昨年の今頃、A社長は新人のDさんとEさんの2人が早くも異動を希望していると聞き、個別面談をしたのだった。今思えば、その時の対処が良くなかった。なぜなら時代の流れを考えずに、かつてのやり方を踏襲してしまったからである。その時のやりとりは、次のようなものだった。

(1)Dさんの場合
A社長「何かあったかな?」
Dさん「もう、我慢できません」
A社長「どうした?何がそんなに不満なのかね?」
Dさん「僕は、こんな仕事をするために、この会社に入ったんじゃありません」
A社長「こんな仕事って、そんな理不尽なことをやらされているのか?」
Dさん「僕はマーケティングを希望していました。それなのに、なぜ営業なんですか?」
A社長「ああ、そういうこと。将来はマーケティングをやりたいわけね」
Dさん「あの…将来ではなくて、今すぐマーケティングに異動させてもらえませんか」
A社長「今すぐ?そりゃ無茶だよ。まだ配属されたばかりじゃないか。まずは今の部署でしっかり経験を積んでから、異動の希望を出すようにしたらどうかな」
Dさん「しばらくは営業をやらないといけないっていうことですか?」
A社長「営業は利益を生む最前線の、会社の存続に関わる重要な仕事なんだよ」
Dさん「採用面接で『何をやりたいか?』って聞かれた時、僕は『マーケティングをやりたい』って答えたはずです。これじゃ話が違います。異動は無理ですか?」
A社長「配属が決まってまだ1ヵ月も経ってないからね」
Dさん「では、辞めさせてもらいます」

 A社長はDさんの毅然とした態度に唖然として、すぐに言葉が出なかった。もちろん慰留を試みたが、本人の辞める意思が思った以上に固かった。

(2)Eさんの場合
A社長「何か問題があるのかな?」
Eさん「なぜ僕が営業なんですか?」
A社長「ウチみたいな会社にとって最も重要な仕事を、まずは経験してもらいたいと思ってね」
Eさん「でも、営業は向かないと思って、学生の頃から経理志望と決めていたんです」
A社長「実際にしばらくやらないと、本当に向くかどうか、わからないんじゃないかな」
Eさん「向かないことは、自分が一番よく知ってます。僕、人と関わるのが苦手なんです」
A社長「そうか、人と関わるのが苦手か…」
Eさん「そうなんです。だから経理に異動させてください」
A社長「苦手意識を克服するために営業をやることで、人と関わるのに少しずつ慣れると思うよ」
Eさん「人と関わる仕事は本当に無理なんです。取引先に会いに行くって思うだけで疲れちゃうんです」
A社長「そのうち慣れるよ。いずれ経理を希望する異動願いを出すとして、今は営業で頑張ってくれないかな」
Eさん「わかりました…」

 Eさんはそう言ったものの、結局、しばらくして辞めたのである。

 A社長は、昨年のことがあったため、今回は慎重に対処しようと、私に相談してきたのだった。そこで次のような社会的背景を説明するとともに、対処法についてアドバイスした。

2024

VOL.341

Spring

  1. 1
2
LINE
SmartNews
ビジネスの装いルール完全BOOK
星のや
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE
  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE
pagetop