「会社が嫌だから、さっさと転職」がうまく行かない理由

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転職するたびにキャリアアップする人の特徴

前回も述べたように、現在の転職市場は売り手優位で候補者が転職しやすい状況になっています。なので、うまくいかない場合、地道に踏ん張って成果を出すより、「ここは厳しいから」と早々に見切って新天地へ移るという行動をしやすくなっています。

しかし、どんな事業であってもすぐ成果を出せることはまずありません。まとまった成果を出すまでにはある程度の時間が必要で、それを待たずして1年ももたずに辞めてしまったら自分に何も残らないし、下手をすると会社や同僚から「あいつは給料泥棒だ」と見なされかねません。

つまり、キャリア形成のみならず人的ネットワークの形成の面でも、中途半端な段階で辞めて転職するのは望ましくないのです。

転職するたびにキャリアアップし、自分の市場価値を高めていく人は自分が働いた職場で認められ、一緒に働いた同僚たちを自分の人脈にしているのが特徴です。ここでいう人脈とは単にお互いに知っているという関係ではなく、仕事を通じて実力や人としての信頼性が認められ、何かあれば協力を得られる相手のことを指します。

1つの職場で優れた仕事をして人脈を築き、転職した会社でその人脈を生かして成果をあげ、その職場も人脈化してまた転職して次の職場へ――。そんなふうに転職するたびにキャリアアップしている人は、職場を移るたびに人的ネットワークが雪だるま式に増えていくのです。

転職は「嫌だから」ではなく、「やり切ったから」で考えよ

まれにビジネスパーソンとしてずば抜けて優秀な人物が短期間で成果をあげてどんどん転職を繰り返し、キャリアアップしていく姿を見かけることもあるでしょう。SNSが普及してそうした人の活躍が目につきやすくなってもいます。

そういう天才的な人はそれでよいと思います。しかしそれは一部の人に限った話で、世の中の大多数である普通の人のお手本にはなりません。普通の人が仕事でまとまった成果を出し、一緒に仕事をした人たちから信頼を得て人脈を構築するにはやはり3年くらいかかるでしょう。

そもそも新卒入社した会社ならともかく、ある程度社会経験を積んだ人が転職したのであれば、それなりの判断力を持って転職先の会社を選んだはずです。少々のことで辞めてしまったら自分の決断を否定することになるわけで、そう簡単にあきらめないほうがよいでしょう。

もちろん単純に辞めるな、転職するなと言っているのではありません。辞めるのは自分の仕事をやり切ってから。業種、業態によってどの程度がまとまったといえる単位になるのかはそれぞれですが、まとまった仕事やサイクルをフィニッシュしてから次の会社へ転職し、それをフィニッシュしたらまた次の会社へ、という癖をつけたほうがよいでしょう。

すなわち「嫌だから転職する」ではなく「やり切ったから転職する」。ちゃんと区切りをつけてから転職することが、自分のキャリアのためになるのです。

丸山貴宏/株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役

1986年滋賀大学経済学部卒業後、リクルート入社。7年間人事担当採用責任者として新卒、中途、留学生、外国人など多岐にわたる採用を担当し、同社の急成長を人材採用の側面から支える。退職後現社を設立。リクルートで実践した「企業力を超える採用」の実現のため1000社を超える顧客にそのノウハウを提供、さまざまな分野の支援を実現。また個人へのキャリアコンサルティングは1万名を超え、「個人の本気に火をつける」面談には定評がある。1963年生まれ。


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