Let’s Oder Talk
【DORSOのMTMスーツ】
作り手との対話を通して生まれるオーダースーツ。サイズ感やスタイルなど、自分では決めきれない時に根拠を持って提案してくれるのが作り手だ。そこには難しい言葉や緊張はなく、ただ楽しい空気が流れて会話もはずむ。
【作る人】
「DORSO」オーナー 齋藤 力さん
イタリアの美意識を追求すべく、2022年にあえてMTMを主軸としたオーダーサロン「ドルソ」をオープン。その卓越したセンスと技術力で早くも業界人の間で話題に。
【注文する人】
「アイネックス」企画 並木孝之さん
日本を代表するネックウェアメーカーにてドレスアップの美学を追求する。今季は、改めてベーシックなスーツを見直したいと、先シーズンに続き2着目の3ピースをオーダー。
まずはヒアリングから仮縫いへ
期待値を大きく超えた完璧な仕上がりに大満足!
並木 昨シーズンオーダーした3ピースが素晴らしかったので2着目をオーダーしたいなと。
齋藤 最近は、スーツを着崩すといった装いが多くて、正統派3ピーススーツをきちんと着ているミドルは少ないと思います。
並木 確かに。正統派スーツといえばやはり3ピース。秋冬らしいエレガンスと色っぽさ、そして何よりスーツを着こなしている感覚を最も愉しめます。
齋藤 そうですね。秋冬の艶っぽさならイタリア、ドラッパーズのカバートクロス。こちらの奥行き感のあるグレーベージュの生地がお似合いになるかと。
並木 ほほう。これは、既製品でよく見るベージュ系のスーツにはない色味だし、白やサックスブルーをはじめ、薄いピンク系シャツとも相性が良さそう。ネクタイ屋の洒落心を刺激してくれるオーダーならではの生地。
齋藤 英国生地のようにしっかりとした質感に魅力があって、お仕事でハードに着ていただけるクオリティを備えています。
並木 出張などにも安心して着用できるタフな生地。そうそう、安心感と言えば、こちらではMTMでも初回の注文に限っては仮縫い付きなんですよね。
齋藤 仕上がりがイメージしにくいオーダー初心者の方も、一工程入ることで不安を解消していただけると思います。
並木 デザインやディテールなどは、着用目的やイメージを伝えておけばお任せでも大丈夫?
齋藤 もちろんです。今回、ベストはカバートクロスが持つカジュアルな風合いを活かして、フロントは6つボタンの5つ掛けで、ポケットはバルカ型の腰ポケット二つのみにしています。
並木 ラペルの表情も独特です。
齋藤 イタリア服のナチュラルな空気を大事に、ゴージラインは緩やかにカーブを描くようハンドで。ラペルも立体的なロール感を出せるように型紙を工夫していますし、肩周りの表情は丸みを帯びたソフトな雰囲気を意識してイセ込んでいます。
並木 なるほど。さすがはビスポークスーツの技術を持つ齋藤さんならではの表現力。この感性と技術力こそが、お客様の期待値を大きく超える仕上がりにつながっているわけですね。ファッションが多様化し、自由な装いが浸透しつつある今こそ、様式美を重んじた3ピーススーツがいいなと、改めて感じさせてくれる仕上がりです。
仮縫いから一ヶ月後…
「ジャケットは身体に吸い付き肩周りの可動もノンストレス!」