伝統工芸に裏打ちされた福井の技
男性誌に携わっている人にとって、福井県といえば鯖江のメガネ。メガネの高い製造技術は、実は歴史ある伝統工芸の技術に裏打ちされている。
福井の代表的な伝統工芸の一つが越前打刃物(うちはもの)。料理をする人であれば、一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。1337年に京都の刀匠千代鶴国安が刀剣製作に適した地を求めて現在の越前市に移り、刀を作るかたわら、付近の農民のために鎌を作ったことが始まりとされている。700年近い歴史を持つ打刃物は刀の鍛錬が元となり、今ではその高い技術が世界中から評価されている。
なかでも「高村作」として有名な高村刃物製作所は、国内外の料理人から支持されている。特に海外の「星」を持つ著名なシェフがこぞって入手し、その噂は口コミで広がり、打刃物はすぐには入手できない状態。今や日本国内より海外のほうが有名といっても言い過ぎではない工房なのである。
高村刃物製作所では、現在3代目にあたる高村光一さん、日出夫さん、勇人さんの兄弟を中心に、全工程を一貫して生産するスタイルを取り、ステンレス包丁を中心としたものづくりを行っている。フランス料理を題材にした人気テレビドラマで主人公(本人も料理が大変上手)が手にした包丁も、こちらの特注のものだった。
ドラマの中では、主人公とともにとても目立つ存在感のある包丁であった。このドラマの監修にあたったのが、国内で最も予約の取れないフレンチのシェフで、ご本人がこちらの包丁を推薦されたのだそう(本人もご使用とのこと)。