ビームス中村さんが”一生手放さない”時計「SINN 356フリーガー 40周年モデル」

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ビームスのクリエイティブディレクター、中村達也さんが所有する貴重なお宝服の中から、ウンチク満載なアイテムを紹介する人気連載「中村アーカイブ」の秋冬バージョンをご紹介。「ベーシックな服もアップデートされていくので、何十年も着続けられる服は意外と少ない」という中村さんだが、自身のファッション史の中で思い出深く、捨てられずに保管してあるアイテムも結構あるのだとか。そんなお宝服の第38弾は……?

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【中村アーカイブ】 vol.38 / SINN 356フリーガー 40周年モデル

SINN 356フリーガー 40周年モデル

2001年に購入しました。’90年代に入るとクロノグラフのブームが起きます。当時すでにロレックスのスポーツモデルを所有していたので、次はクロノグラフが欲しいと思っていましたが、クロノグラフはムーブメントが複雑なこともあり、有名ブランドのものは値段も高く、簡単に手に入れられるものではありませんでした。

初めて手に入れたクロノグラフは当時発売されたばかりのOMEGAのスピードマスターのオートマチック。知人が所有していたものを数万円で譲ってもらったのですが、これがハズレでリューズ抜けから始まって不具合が多発し、結局新品が1個買えるほど修理代がかかってしまいました。

時計に詳しい人に聞いたところ、この初期のスピードマスターのオートマチックは初期不良が多かったらしく、自分は特にハズレの個体を手に入れてしまったようです。

クロノグラフ初心者がいきなり洗礼を浴びた、そんなふうにも思える私の初クロノグラフのエピソードです。

それから数年後、その後のクロノグラフ選びの指標となる時計と出会います。それが1994年に発表されたIWCのメカニカルフリーガークロノ。

当時他のブランドにはなかったクラシックな雰囲気のクロノグラフはかなり刺さりましたが、当時IWCはマークXⅡの人気もあり並行輸入のものでもかなり高く、すぐに手が出るものではありませんでした。

なかなか欲しいものと値段の折り合いがつかず、クロノグラフ探しも難航していた時にある時計と出会います。それがSINNというドイツの時計ブランドのクロノグラフ。

356フリーガーと言う名のモデルは、なぜか見た目がIWCのメカニカルフリーガーとよく似ています。時計に詳しい先輩に聞くと1994年にIWCのエンジニアだったローターシュミット氏がSINNの経営を引き継いだということを聞き、その時計にとても興味を持つようになりました。

当時BEAMSでもSINNを取り扱っていたので、400本限定モデルだった356フリーガーがBEAMSにも入荷します。しかし、ムーブメントが手巻きで、時計マニアでもない私にはそれが手巻きである意味も分からず、購入をためらっているうちにその限定モデルは完売してしまいました。

そして、数年後356フリーガーは自動巻きとなって発売されカタログモデルとなり、BEAMSの店頭にも並びいつでも買える状況になります。

値段はIWCの約半分。見た目はよく似ていてベースとなっているムーブメントもバルジュー7750と同じ。金銭的に無理をしてでもブランドをとるか、無理せずに実をとるか、しばらく迷っていた時に出会ったのがこのSINN創立40周年を記念して作られた356フリーガーJUBでした。

そのモデルが店頭に並んだ時、当時他のブランドにはなかったグレーの文字盤に強烈に惹かれます。その瞬間IWCのことは完全に忘れ、すぐにこの時計を買うことを決めました。細かいウンチクやブランドよりも完全に見た目にやられたということです(笑)。

購入してから20年経ちますが、今見てもこのガンメタのようなグレーの文字盤がとても気に入ってよく着けています。

若い頃は誰が見てもわかるブランドの時計に目が行きがちでしたが、自分が納得できるクオリティーであればブランドはどこであれ、気に入った色やデザインの時計を身に着けるというのが今の私のポリシーです。

このSINNの40周年モデルは、そんなことを気づかせてくれた時計です。

この先どんなに高価な時計を手に入れることが出来たとしても、この時計を手放すことはないと思います。

2024

VOL.341

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