フラッグシップに搭載された最新PHEVの実力とは?
東京駅からおよそ3時間半。東北新幹線の終点であり、北海道新幹線の起点でもある新青森駅に到着した。近くのホテルに前泊し、翌朝ボルボのプラグインハイブリッド(PHEV)モデル、「VOLVO V90 RECHARGE PLUG-IN HYBRID T8 AWD INSCRIPTION」で南へ、豪雪地域として知られる八甲田山中の酸ヶ湯へと向かった。
少々長い車名だが、まずボルボV90とは、全長4945mm、全幅1890mmで、のびやかなスタイリングが魅力のフラッグシップステーションワゴンだ。そしてパワートレインの「T8」とは、2リッター4気筒ガソリンエンジンに、ターボチャージャーと電動スーパーチャージャー、さらに2つの電気モーターを組み合わせた、ボルボ車としてはトップクラスの性能をもったPHEVであることをあらわしている。
エンジン単体で最高出力318PS、最大トルク400Nmを発揮。そして、モーターはフロントが最高出力46PS、最大トルク160Nm、リア側は最高出力88PS、最大トルク240Nm。駆動方式は4WDで、後輪はモーターでのみ駆動される。駆動用リチウムイオンバッテリーの容量は34Ahで、一充電あたりの電動走行可能な距離は42.1kmとなっている。
近年のボルボの魅力は、スタイリッシュなエクステリアデザインに加えて、質感の高いインテリアにある。ソフトな肌触りのファインナッパレザーを用いたシートは、基本デザインの完成度の高さに加えて、可動箇所が多くさまざまな体型にフィットする秀逸なもの。ロングドライブでも疲れ知らずだ。自然な風合いのウッドパネルに、キラキラと輝くクリスタルガラスのシフトノブは、スウェーデンのオレフォス社製。オプションのBowers&Wilkinsプレミアムサウンドオーディオシステムは、電動車だからこそ味わえる静謐な空間にふさわしいぜひモノの装備だ。
雪道対策として足元にはヨコハマのice GUARD 6 iG60が装着されていた。サイズは前後共に245/40R20と、いまや20インチサイズのスタッドレスも珍しくなくなってきた。出発地点の青森市街地にはまだ雪がなく、しばしオンロード走行を試すことになったが、スタッドレスタイヤにありがちなロードノイズも抑えられており、剛性不足でヨレる感じもない。
走行モードは、EV走行を優先する「ピュア」や、常時4WD走行する「コンスタントAWD」、スポーティな「ダイナミック」など6つの走行モードがあるが通常時は「ハイブリッド」を選択しておけばいい。バッテリーの充電量に応じて、EV走行とエンジンを使用しての走行を自動で切り替えてくれる。先述のように後輪はモーターのみで駆動するのだが、バッテリー残量がなくなってしまうと前輪のみで駆動するFFになると勘違いしている人が意外にいるのだという。実際にはバッテリー残量がおおよそ2割を切ると自動的にチャージを行い、後輪駆動用の電力は一定量を確保する仕組みになっている。ボルボがあえて豪雪地帯で試乗会を行ったのは、こうした誤解を解いておきたい意図もあったようだ。