ビームス中村さんが今、もう一度作りたい「CPOジャケット」の話。

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ビームスのクリエイティブディレクター、中村達也さんが所有する貴重なお宝服の中から、ウンチク満載なアイテムを連載形式で紹介する人気連載「中村アーカイブ」の秋冬バージョンがスタート! 「ベーシックな服もアップデートされていくので、何十年も着続けられる服は意外と少ない」という中村さんだが、自身のファッション史の中で思い出深く、捨てられずに保管してあるアイテムも結構あるのだとか。そんなお宝服の第21弾は……?

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【中村アーカイブ】 vol.21 /MONOGRAMのCPOジャケット

MONOGRAMのCPOジャケット

1990年代前半から中ごろにBEAMSの原宿店で購入しました。

CPOとは「Chief Petty of Officer」の略で、アメリカの海軍下士官のチーフのことをさします。彼らのユニホームだったウール製のシャツがファッションアイテムとなって、アウターとして着られるようになり、CPOジャケットと呼ばれるようになりました。

私が初めてCPOジャケットを知ったのは、まだ中学生だった’70年代中頃。丁度ファッション誌を読み始めたころに誌面で紹介されていたCPOジャケットを知り、中学校の先輩たちが学生服の上にチェックのCPOジャケットを着ているのを見て、とても影響を受けました。

そして、中学3年になりやっとCPOジャケットを手に入れます。本当はVANのCPOジャケットが欲しかったのですが、田舎の中学生にとっては高価で買えず、安物のCPOジャケットを買って、先輩たちを真似て学生服の上に着ていました。

それから約20年後に再び出会ったのが、このMONOGRAMのCPOジャケットです。当時アメリカ製品は、大量に生産してそのストックを販売するという形態になっていたので、小柄な私に合うサイズのアメリカ製のCPOジャケットはマーケットには存在しませんでした。

このMONOGRAMのCPOジャケットは、当時アメリカ製品を扱っていたインポーターさんがアメリカの工場で日本人の体形に合うスペックで作るという画期的な取り組みでした。

ちなみに、当時のアメリカの工場はほんの少し修正を加えるだけで最低のミニマムが100ダース(1200枚、1200着)というのが当たり前の時代でした。私自身当時アメリカ製の製品を多くバイイングしていましたが、シャツのカフスのギャザーを少しだけ増やして欲しいというリクエストに対してミニマムが1000枚と言われたことを今でもよく覚えています。そんな状況を知る自分にとっては、インポーターさんがどれだけ苦労して作り上げたものなのか容易に想像でき、その企画にリスペクトして購入したのを今でも覚えています。

コーディネートはネルシャツや英国製のニットの上に羽織り、パンツはベージュのチノパンやデニムやコーデュロイのファイブポケットと合わせ、足元はクラークスのデザートブーツやウオークオーバーのホワイトバックスやダーティーバックスを合せていました。アメカジでも綺麗に着こなしたいというのは当時も今も変わっていません。

ここ数年CPOの流れが来ているので何度か袖を通してみていますが、やはり今のバランスではないので、今これをそのまま着るのは難しいというのが正直なところです。

これをベースに現代的にアップデートさせ、アメリカ製でCPOジャケットが作れないかと思っています。

個人的にも今欲しいアイテムなので1200着は無理ですが、200着くらいで何とかならないかなと真剣に思っています。

実現したらお知らせしますので、是非買ってくださいね(笑)。

2024

VOL.341

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