未来を見据えて作られた新しいAMGのカタチ
メルセデスAMG初のマイルドハイブリッドシステムを搭載する「AMG53シリーズ」のセダン「AMG E53 4MATIC +」に試乗した。
AMGといえば、伝統の”ワンマン・ワンエンジン”と呼ばれる、1基のエンジンをひとりのメカニックが組み上げる手法を取ることで知られる。V12エンジンを搭載する
「65シリーズ」やV8エンジンの「63シリーズ」などがその代表格だ。
メルセデスAMG「AMG53シリーズ」のボディをチェック!(写真4枚)
一方で近年は、40以上にも及ぶAMGモデルのラインアップ拡充を受け、2016年にAMGへのエントリーモデルの役割を担う「43シリーズ」をCクラスやEクラスに設定した。こちらのエンジンはAMG監修のもと、通常のメルセデスモデルと同じ生産ラインで製造することでコストを抑えている。今回追加された「53シリーズ」はそれに該当するものだ。
「53シリーズ」の特徴は、AMG史上初のハイブリッドシステムを搭載することだ。ベースは、「S450」が搭載する3リッター直列6気筒エンジン「M256」ユニットにスターターとオルタネーターを兼ねたモーターであるISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と、48V電気システムを組み合わせた、いわゆるマイルドハイブリッドだ。AMGはこの「M256」ユニットにより大型のターボシステムを組み合わせることで、エンジン単体での出力を最高出力435PS、最大トルク 520Nmへと高めた。これはベース比で、出力68PS/トルク20Nmの向上となる。
エンジン始動時は、S450と同様にほとんど振動がなく静粛性も高い。そして動き出しのスムースさ、滑らかな吹け上がりと直6エンジンにモーターだけでなく、電動スーパーチャージャーとターボを組み合わせるだけあって、低回転から高回転域まで、どこでも気持ちよく加速する。
足回りは定評のある「AMG RIDE CONTROL+」を採用。連続可変ダンパーの機構を搭載したエアサスペンションであり、各輪の減衰力をその時点の走行状況や路面状態に合わせて自動調整するものだ。ダンピング特性を「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツプラス」の3つに切り替えが可能だ。そこで走行モードをスポーツに切り替えると、ステアリングの手応えが増し、ダンパーの減衰力が高まり引き締まった乗り心地に変化する。そしてコーナーにさしかかりアクセルペダルを戻すと、アフタファイアのようなパンパンというエグゾーストノートを響かせる演出まできいている。
400PSを超えるエンジン出力を受けとめるために、駆動方式は4WD(4MATIC)となる。いまやAMGシリーズの約7割が4MATICだ。さらに「53シリーズ」では新開発の四輪駆動システム「AMG 4MATIC+」を搭載。前後輪にかかるトルクを50:50から0:100の範囲で可変し、最適に四輪へと配分する。足回りのセッティングは極めて安定志向で、発進時をはじめコーナリングからの立ち上がりなどで高いスタビリティ性を誇る。