生地を「タグの知名度」よりも”質”で見極めることができたなら、服選びはもっと楽しくなる——。生地の個性からスタイルを導く新発想で、自分に本当に合う”ネクスタイル”、探しませんか。

春から初夏まで、サラリと着られるドライタッチ

■WILLIAM HALSTEAD（ウィリアム ハルステッド）の「エクスプローラーコレクション」

“ティピカル・ブリティッシュ”のハリコシを備える良質な強撚生地
これぞ英国！というハリコシの中に、適度なしなやかさを秘めた生地コレクション。伝統製法による強撚糸を用いたその生地は通気性があり、これからの季節にぴったり。縦横の糸は31番手双糸とかなり太く、これが豊かなニュアンスへとつながっている。

硬派にして表情豊か。良質な英国ベーシック
スーツ好きの方はウィリアム ハルステッドと聞くとまずモヘヤが思い浮かぶかもしれないが、英国を代表する老舗の1つであるこのミルは、ウール生地の品質も優れている。今回の「エクスプローラーコレクション」にも、その高いポテンシャルが窺える。

確かなハリコシの中に程よい弾力を秘めたそのマットな強撚生地は、適度な通気性を備えた天然の機能ファブリックだ。仕立て映えが期待できるのは言うに及ばず。また経糸、緯糸ともにかなり太い31番手双糸を用いてザックリ織っているため、豊かなニュアンスを備えるのも特筆すべき点。スーツはもちろん、単独のジャケットやパンツとしても着やすい。目付は350ｇほどと中庸的で、これから初夏にかけて、また秋にと3シーズンに亘って快適に着られる。コストパフォーマンスの高さも、トドメの魅力といえよう。

奥行きのある素材で装いの幅も広がる

目の粗い織りによる豊かなニュアンスも魅力
一番上の写真のスリーピースにはほんのりメランジのきいたチャコールグレー生地を使用。ダブルのジレやベルトレスのパンツが織りなすクラシカルなテイストを、英国然とした生地のハリコシとニュアンス豊かな風合いが盛り上げている。一方、このダブルスーツはソリッドネイビーだが、こちらも目の粗い織りが表情に奥行きを与えている。その生地感ゆえ、単品のジャケットやパンツとしてのセパレート使いもサマになるのだ。

美しさの理由

150年近い老舗が織る昔気質の英国ファブリック
伝統を守りながら生産の近代化を進めてきたウィリアム ハルステッド。本コレクションも、古くから伝わる特殊な撚りをかけた強撚生地だ。その強いハリコシが、スーツのシルエットを立体的に浮かびあがらせる。

［MEN’S EX 2018年4月号の記事を再構成］
撮影／若林武志　スタイリング／四方章敬　文／秦 大輔