今月の先生
井廻道夫先生
新百合ヶ丘　総合病院　消化器・肝臓病研究所 所長

1973年東京大学医学部卒業。肝臓がんの撲滅と肝硬変への進展阻止を使命とする肝臓専門医。アルコールを愛し、かつて自らの脂肪肝を減量して治した経験を持つ。

アルコールや肥満が原因で肝臓に脂肪がたまる

M.E.　今年も飲み会シーズン到来。最近話題の脂肪肝が気になります。

井廻先生　肝臓に中性脂肪がたまった状態を脂肪肝といいます。肥満、糖尿病、アルコールの飲みすぎが3大リスクで最近増えており、男性の40％が脂肪肝との統計もあります。

M.E.　自覚症状はありますか。

井廻先生　肝臓の辺りに張りを感じる人もいますが、大半は無症状です。10?20％が進行性で、放っておくと肝硬変、肝臓がんになる危険があります。40代男性ではBMI（※）25以上の肥満が3割を超えており、その約半数が脂肪肝と推定されます。

M.E.　急に心配になってきました。予防法、対策法を教えてください。

井廻先生　体重を減らし、飲酒を控えること。この2点に尽きます。

肝硬変、肝臓がん予防に役立つ脂肪肝ドック

M.E.　脂肪肝になっても気づかない場合が多いのではないでしょうか。

井廻先生　脂肪肝かどうかは肝機能（AST、ALT）検査と超音波検査でわかります。重要なのは、進行性なのか、どの程度重症なのかを知ること。
進行して線維化し、硬くなった組織は減量や節酒でも元に戻らず、肝硬変に進む確率が高いからです。脂肪肝ドックでは肝臓の状態を詳しく調べることができます。

M.E.　どんな検査をするのですか。

井廻先生　血液検査で肝機能を評価し、MRIを用いた特殊な技術で脂肪の量や線維化の様子を調べて画像と数値で表示します。ご自身の肝臓の状態を把握することが、生活改善のモチベーションを高め、肝硬変、肝臓がんの予防につながります。

M.E.　まずは予防。今日から酒量もカロリーも控えめを心がけます。

井廻先生　太っているかたはBMIを25以下に減らし、アルコールは日本酒換算で1日3合以内に抑え、週2日は休肝日を設けましょう。