綿谷寛画伯のスマートコンサバあの手この手#3「ドッグショーに見る紳士像」

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数々の洋服の定番・名品を揃えその知識が豊富だとしても、最も大事なのはシーンに合わせてそれらを好印象に着こなす術。真のウェルドレッサーを目指すため、装いに悩む様々な場面の取材をしシーンに沿った最適な着こなしや振る舞いを探る。

ドッグショー(イメージイラスト)

今月のお題 伝統的品評会、ドッグショーに見る紳士像

絵と文・綿谷 寛

画業40年を節目に、自身初の作品集『男のファッションはボクが描いてきた—STYLE』が5月10日に小学館より刊行されます。B5判。192ページ。収録作品は175点。是非書店でお手に取ってみてください。

ドッグショーのリングはオレの着こなし主戦場!?

読者諸兄は「シートステッキ」をご存知だろうか? 知っていると答えた方はかなりの英国通。持ってると答えた方は変わり者だ。一応ご存じない方のために説明すると、シートステッキとは読んで字のごとく椅子に早代わりするステッキのことで、英国ではシューティングステッキと呼び、主に狩猟や競馬観戦で使用された伝統的な杖。オレはこの英国らしいカントリーアイテムが大好きで、いつか使いたいと初めての英国旅行で手に入れてから30余年。未だ日本で一度も使ったことがない……。理由は、そもそもステッキを持ち歩く習慣がないことと、野っ原で1本足のステッキの支柱を支えに、ハンドル部分の座面に腰を下ろす必要もないからだ。座りたければそのまま地ベタに尻をつければよい。そこが英国貴族と日本の庶民の発想の違いだろうか。

とはいえ、一度は使ってみたいシートステッキ。日本でコイツが似合う場所はどこかないかな……と思ってたらありました!それはドッグショー。ドッグショーとは純血犬種の品評会で、その犬種のスタンダード(犬種標準)との近さを競う大会。世界初のドッグショーは1859年に英国北東部のニューカッスルで行われた鳥猟犬の大会と歴史は古く、日本でドッグショーが確立されたのは1950年代に入ってからのことだ。

手元に『DOGSHOWS』という’30〜’40年代アメリカの犬の品評会の写真集がある。ページをめくると、気高くステイポーズ(立って待て)を決めるプードルを誇らしげに見つめるエレガントなご婦女やホワイトバックスで颯爽と犬と歩く紳士など、古き良きラグジュアリーな世界がそこにある。芝に突き刺したシートステッキに腰を下ろしエレガントに品評会を楽しむイメージがそこにある。

ここだ!というワケで今回は、初夏を思わせる汗ばむ陽気の日曜日、日本最大のドッグショー『FCIジャパンインターナショナルドッグショー2018』(ジャパンケネルクラブ主催)を観に、担当ハシモトくんと2人で会場がある有明の東京ビッグサイトへと向かった。

2024

VOL.341

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