【今月のインタビュー】ミュージシャン・小袋成彬さん

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ソングライティングやプロデュースも手掛けるミュージシャン、小袋成彬さん。デビューアルバム『分離派の夏』では、エモーショナルなサウンドと声の魅力で、音楽シーンに新たな風を吹き込んでいる。その魅力的な音楽世界を、彼の言葉で語ってもらった。

小袋成彬

「隠された物語に思いを馳せ、自分の心象風景と結び付いたときにメロディーが降りてくる」

圧倒的な才能が満を持して登場する。

4月25日にファーストアルバム『分離派の夏』でメジャーデビューする小袋成彬さん。

大学時代にR&Bユニット「N.O.R.K.」で音楽活動をスタートし、耳の早い音楽ファンの間では知られた存在であったが、ユニット解散後はアーティストのプロデュースや音楽レーベルを主宰するなど、どちらかといえば裏方作業に徹していた。

その才能に広く注目が集まるようになったのは、2016年に発売された宇多田ヒカルさんのアルバム『FantOme』の収録曲「ともだちwith 小袋成彬」に、ゲストボーカルとして参加したことがきっかけであった。そこで共演した宇多田さんは、小袋さんの類い稀な歌唱力と洗練された音楽性を高く評価し「この人の声を世に送り出す手助けをしなきゃいけない」とソロデビューアルバムのプロデュースを手掛けることに決めたのだ。

「ソロで何かやろうという考えは自分の中ではまったくありませんでした。レーベルをやっていた頃は売り上げを出さないといけないから、どうやったら最新の音楽を作れるかみたいなことを研究していたんですけど、もっと自分の人生において大切なものを見つけたいと思うようになって。純粋に自分を見つめ直すための習作活動に入っていた時期に、たまたま宇多田さんとの出会いがあり、曲も出来たタイミングだったから、”じゃあ、ソロデビューをしようか”という話になったんです」

これまでプロデューサーとして活動してきた小袋さん。かたや新人アーティストのプロデュースは初めてとなる宇多田さん。音楽作りにおいては互いに意見を戦わせる場面もあったとか。

「プロデューサーには、コントロールしたがる人としたがらない人がいて、僕は前者で、彼女は後者だったから、わりと自由に任せてくれたんですけど。でも、曲作りにおいては作業プロセスや価値観に相違があったりして、そこのギャップはけっこう話し合いました。ただ、いろいろなやり取りがあったおかげで、自分のやりたいことがより明確になったし、結果的にすごくいい形になったと思います」

曲作りをするときは、「音楽でも小説でも絵画でも、誰かほかの人の作品に隠された物語みたいなものに思いを馳せて、それと自分の過去の体験や心象風景が結び付いたときにメロディーとなって降りてくることがほとんど」だという。そうして完成したアルバムは、どの楽曲も小袋さんの個人的な心象が投影され、それらがゆるやかに繋がった構成はまるで一篇の物語を読んでいるかのよう。挑戦的なサウンドデザインと相まって、日本の音楽シーンの新たな地平を切り拓く意欲作となった。

最後にファッションへのこだわりを聞いてみると…。

「自分なりにはあるのですが、言ってしまえばTシャツは大きめを着るくらいで、特定のブランドやアイテムにこだわって着ることはないですね。鏡もほぼ見ないので、たまに歯磨き粉が顔に付いたまま出掛けて、人に指摘されることがあります」

PROFILE

おぶくろ・なりあき

1991年生まれ。大学在学中にR&Bユニット「N.O.R.K.」を結成。ユニット解散後は音楽レーベル「Tokyo Recordings」を設立し、水曜日のカンパネラへの歌詞提供や、adieuなど、さまざまなアーティストのプロデュースを手掛ける。
2016年、宇多田ヒカルの楽曲「ともだち with 小袋成彬」にゲストボーカルとして参加し、一躍注目を集める。
4月25日に、宇多田ヒカルをプロデューサーに迎えたアルバム『分離派の夏』(EPICレコードジャパン 2778円+税)でデビュー。

関連記事:圧倒的な歌の表現力を持つ小袋成彬が、宇多田ヒカルのプロデュースでデビュー『分離派の夏』

[MEN’S EX2018年5月号の記事を再構成]
撮影/平野太呂 文/澤田真幸 構成/神山典子

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